
◆法被・半纏とは?
法被と絆纏の違いは服装の歴史から見てもあまりはっきりしないのが事実のようです。東京堂の『事物起源辞典・衣食住編』の記述から察すると、江戸時代、法被は民間のものとして発達して来たものではなく、武家社会で生まれ伝えられてきたもので、それが明治時代になっても官員などの生活の中に受けつげられてきた伝統を示している様です 。絆纏は逆に庶民・町民・職人を中心に日常生活に溶け込んだ労働着とも言えるでしょう。 江戸時代に一般庶民は羽織禁止令が出たため、襟を返す羽織(当時の法被も襟を返して着用)の変りに法被が形を変えてその末端の所で袢纏との混同が始まったようであります。羽織と法被の圧倒的違いは…襟と袖です。襟を折り返すのが羽織返さないのが法被、羽織の袖は袂(たもと)袖となり、法被は筒袖の違いがはっきりしています。お武家さまの着物の上に羽織るものの羽織禁止令後に職人・町人を中心として襟を折り返さないしかも袂(たもと)の無い今の筒袖に変化してきたと推測されます。この段階で法被と袢纏の混同が始まったようです。職人には印袢纏・町火消しには火消袢纏・祭りには祭袢纏とそれぞれの伝統と文化を今でも受け継げられて紺屋〔染工場〕が今でも日本全国にございます。日本の江戸時代の伝統と文化を語るのには半纏必ず必要でしょう。
◆弊社が独自に紺屋(染屋)さんに調べた面白いアンケート結果として、遠州地方の浜松から大井川手前の吉田・島田地区までの紺屋さんは「絆纏と呼ぶか法被と呼ぶか」との問いにほぼ90%(10件の内9件)は「法被」と答えてくれました。大阪・京都・名古屋・地区では「法被」と90%以上…。
そして面白いことに関東地区…特に江戸の紺屋さんはほぼ90%「絆纏」と答えました。
◆以下は私の独自の考えですが… この結果を踏まえると関西地区特に日本の地方のお祭りの形を作ったとされる「祇園祭」の時代には法被という言葉が主流で絆纏という言葉自体も江戸時代から江戸を中心に言葉として広まってきたのがわかります。ものの本には法被は武家・公家社会から発信発展したもので、半纏は町民や商人からの発祥とされる事がどの本にも書いてありますがそれは江戸文化の町民・商人文化として「絆纏」を進化・変化させてきたのがわかります。何代も続く紺屋(染色工房)の聞き取り調査だから間違いないと私は思います。
あと…近年遠州地方の浜松まつりを中心に内袢纏という個人の氏名や家紋を意匠にした重ね着袢纏が浸透しつつあり、全国にも普及の兆しが見えますね。江戸の火消袢纏着には重ね着をする文化が江戸時代から有りました。その影響かと思われます通り、衣装も時代とともに変遷を遂げています。
そうです。時代とともに祭り衣装も変化・進化しているのです。不変なのは祭の本質的な想いと理念だけなのです。
◆法被(半纏)の必要性
袢纏は祭参加では欠かすことのできない衣装であります。そこの祭典地区の意匠を纏い祭りに参加するというのが代表的な日本の祭です。地区の袢纏がない場合でも自分の印として袢纏を纏いましょう。きずな(絆)をまとう(纏)のが袢纏です。自己主張(背中の大紋と襟先の名前で)のできる衣装でもあります。
◆法被(半纏)の選び方
袢纏の意匠や色柄は千差万別ですが、祭参加の場合は地元の袢纏があればそれを着用するのが一番の祭の本質に近づく衣装となる事は間違いありません。無い場合(自由な場合)は既成品かもしくは独自に作成するかですが、1枚の作成の場合はどうしても費用からするとかなり高額となります。絆(きずな)を纏(まとう)からするとある程度のお揃いが必要なのかもしれませんが、自己主張を袢纏でしたい場合は、粋でいなせな引染め江戸小紋柄の袢纏がお勧めです。イベント等での袢纏でしたら色が派手なものが良いかと思われます。
チームや仲間で作成する場合は別フォームからお問い合わせ願います。
◆橋本屋の法被(半纏)の特徴
袢纏も独自の工場で作成しておりますので、掲載商品も他社にない色・柄の袢纏を多数取り揃えております。基本的には藍染・本藍染・反応染め・硫化染め・顔料プリント・ダイレクトプリント(インクジェット)ほか作製実績は今迄に地元の袢纏を中心に数千件ございます。価格もかなりリーズナブルです。
藍染袢纏、いわゆる"本藍染と"いうのは"すくも藍"の天然藍を使用する、ジャパンブルーと世界から称される素晴らしい天然藍染の事だけを橋本屋では"本藍染"と定義しています。近頃は化学藍(染料名:インディゴピュアなど) 本藍の色素の分子を化学合成しコピーした物などをブレンドしそれを"本藍染"と称し販売する祭衣装屋(染を知らない業者)がありますのでご注意ください。この藍染を『割り立て』と言います。"本藍染"の場合は移染も色落ちもしません。(100%ではございませんがほとんどしません)"本藍染"と称するものを白いハンカチと洗ってハンカチが藍に染まればそれは化学藍が入った割り立て藍染(本藍染ではない)です。
「藍枯らし」という言葉は布に藍を浸み込ませるため、藍染の前工程で布に浸み込ませた豆汁を枯らすことを言います。(藍染の専門家談)染色工程での「藍枯らし」は「藍を枯らす」と意味合いが違います。
「藍を枯らす」というのは本藍を落ち着かせる為(定着を良くする為)に光の当たらない暗所に紙やたとう紙に入れて寝かす事を言います。光の入る紫外線の当たる場所では藍が退色(色焼け)します。平均的に藍を落ち着かせるため(糸の中まで浸透)に寝かせるわけですので、紫外線によりマダラもしくは光が強く当たったところに線が入ります。間違っても部屋に掛ける事はお避け下さい。(洗濯後のものも暗所にしまう事)
袢纏は主に後染め(生地染)が多いために藍が定着するのに時間がかかる為「藍を枯らす」という言葉で表現をしています。先染め(糸染め)の場合(藍染腹掛・股引等)は糸の状態である程度寝かして(枯らして)ある為、製品になってからの藍の定着にはあまり時間が掛かりません。
本藍染袢纏は一枚から受注できます。価格は化学藍染が約2万円代~4万円代(型代別10枚から受注)のところ"本藍染"は綿物で8万円代~15万円代程(基本は絹に染めますが綿でも可能です。)の価格になります。ここがミソで、すくも藍のブレンド(配合)加減でどのようにでも価格と仕上がりは変わります。紺屋(染工所)によりその配合加減が企業秘密なのです。したがって『割り立て』を安い本藍染だといって飛びつくとえらい目にあいます。信頼のおける祭用品専門店でのご相談をどうぞ…少なくとも「藍を枯らす」の意味をよく理解しているお祭り用品専門店でどうぞ…。
以上橋本屋のHPからり抜粋でした。
愛感謝