2008年06月16日の記事のある方への返信ですが、
あらためて読み返すと、とっても重要な事ですので、またまた記事に致しました。
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"生藍染"というのは江戸一の呼び方です。
決して"本藍染"と呼ばないのは理由があります。
弊社が本藍染と呼べるのは天然藍100%使用の物しか呼びません。(灰汁発酵建)
橋本屋の見解も"本藍染"と区別するために"生藍染"【天然藍を50%以上使用の藍染の事】を使用しています。『江戸一は80%が天然藍使用』
その他"藍染"と ひと括りにすると消費者に非常に不親切な情報として伝えることになるからです。「ここがみそです。」
もともと江戸時代以前の紺屋は天然藍しか(当然ですが…)ありませんでしたので、本藍染と呼ぶ必要もなかったのですが、明治時代から化学藍が入ってきて天然藍と化学藍(工業藍)の混合藍(割り立て)ができたようです。
私たちは呉服屋(祭衣装屋)として"本藍染め"と呼べるのは天然藍100%使用のものだけです。
はっきりしているのは、
①本藍染は色ムラが強く、化学藍は色ムラは少ない(濃く染まる)
②本藍染は色の浸透に時間がかかる化学藍は浸透が早い
③本藍染は移染しにくい、化学藍は移染しやすい
④本藍染の色の"冴え"がある化学藍は色の"冴え"は劣る
ここに見つけたページには私がある紺屋さんから聞いた事が科学的に分析した結果として載っています。なるほどうなづけます。
私の言ってる事(私のお付き合いのある紺屋さん)は間違いないなぁってところです。(笑)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/63/2/P_48/_pdf/-char/ja/
難しい事は私もわかりませんが早い話が近年天然藍と化学藍との割り立てがほぼ主流を占めているのに、意味もわからずうちのは"本藍染"とばかりにいい加減な事を言う物売りの人たちが多いというか、紺屋さんから聞きかじった人が多いのが事実でしょうね。
しかしこの天然藍と化学藍を混ぜた"割り立て"が紺屋さんの企業秘密となっているのは事実の様です。
あまり多くを語らない紺屋さんが多いのでしょう…。この%により価格もかなり変わるのが事実です…。
『腹股を先染めにする利点は…』
天然藍使用(生藍染)の場合は先染めでないと糸の浸透が悪いのです。
100%化学藍のみの場合は糸染めにする必要もないのですが…
近頃は化学も発達し(爆)かなり本藍染に近い色と風合いになるものも出回っていると紺屋さんから聞きました。
"藍を枯らす"という表現も実はあれも一部の紺屋さんが近年つくった都合のいいようにかっこよく作った言葉らしく、江戸の昔にはそのような表現はされていないようです。
"藍染"は天然藍も化学藍(工業藍)も浸透が悪いため染色後に寝かすのが必須とされています。その事をかっこよく言うと"枯らす"という表現になったのでしょう。
でも化学藍が50%以上のものはあまり時間をかけても浸透は進まないとの事です。
袢纏の場合は先染めにて本藍染をすればとてつもなく高い"本藍染"になってしまいます。袢纏の先染めは見た事がありませんね…。しかも抜染でしか意匠を凝らす事ができませんからね…。
先染めでも浸透が悪いものは股引を裏返して見ればすぐわかります。生地の切れ端が…糸の中まで藍が浸透していない事が…。解りますね…。糸をほぐせばホントによくわかります…。
実は今度"本藍染【天然灰汁醗酵建藍】"の体験を売り場で企画をしています。
本藍染とは何か?藍染とひと括りにしてはいけない理由などを身をもって体験していただこうと…。
"藍染"は非常に消費者にしっかり理解がされていないというか、説明がわかりづらいので、逆にいえばしっかり説明ができる所こそお客様の支持を得られるかと思います。
私たちも日々勉強です。
感謝